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切ない話選手権

先に言っておきます。
オチ、特にありません。

リアル飲みの場で行った切ない話選手権での話です。
これも話のついでに読ませろ的な流れになったので、書いてみました。
そんなんでも良ければ読んでやってください。













「なんだか切なくなったなぁ・・。」

全員の話を聞き終わった後に一人が沈黙を破って言い出した。

「そんな時期、あったっんすねぇ。」
「これ、なんかいいっすね!またやりましょ!」

そもそもの話は少し前の時間まで遡る。

*******1時間程前*******

いつものバカ連中といつもの飲み。
ワイワイ騒がしい居酒屋でバカ話をしていると一瞬の沈黙。
一人が言った。

「バカ話もめっさ楽しいんすけど・・・・。違う話題もたまには良くないっすか?w」
「ほう?お題なんかあるってか?ww」
「うーーーん、お、そうだ!最近思うんすけど、切ない思いってしてます?」
「はい?」

全員が聞き返した。
「いやw自分がきたねぇ大人だなぁと思ってw
純粋な気持ちってどこいっちゃったんだろ」

「何言ってんの?」
「じゃぁ!じゃぁさ!切ない思い出の話しようぜw」
「いいすね!切ない話選手権、切ない思い出を物語りにして
話し合って、一番切ない気持ちになった話が優勝って事で!」


それぞれが黙り込んで、思い出を探している。
切ない思い出を。
次々に話される切ない思い出(フィクション、ノンフィクション有り)
何人かが話を終えた。

そしてゆっくりと一人が切り出した。
「タバコを吸い始めたのっていつだ?
そんな時期を想像しながら話を聞いてくれ」
と話が始まった・・・。

俺がタバコを吸い始めたのは中学の頃。
今では吸い始めのきっかけを聞かれると
「吸ってたら、大人っぽく見えるとか 
女の子にモテるんじゃないかとかそんなくだらない理由だよ。」
そんな事を言っているが半分本当で、半分は嘘だ。

俺がいた中学のバスケ部に大阪から転校してきた先輩がタバコを吸っていた。
クシャクシャになったソフトパックから一本タバコを出し、それをくわえ
右手の人差し指と中指にソフトパックを挟み、風除けにし左手でジッポーに火をつけ
思いっきり吸い込むしぐさ。
当時の俺からみたら異様に格好良く見えた。

******************

ガキの頃から知っている幼馴染の女の子。
ずっと一緒にいたので、気がつかなかった。
ガキで気持ちの伝え方一つ知らないまま。

ある日、ふと気がつく。
錯覚?気の迷い?
自分の中で自問自答、否定に入る。

帰り道にいつもの様に話しながら、ふざけながら歩いていると
彼女はいった。


「私ね、お父さんやお兄ちゃんがタバコ吸ってるの見ると
臭いけど、男の人って感じがするんだよね^^」

「ふぅーん?そんなもん?」
「まだ判らないかなーw君はお子様だからねーw」
「お前もタメだろ!」
「タメの男の子って子供でイヤーねーw背も顔も大人になりなさいよーw」

中学入学時140cm。
極めて童顔。
漫画に出てくるような顔。
これが当時の俺のスペックだ。
バカにされるのも頷けるがそんな会話がいつも。

アイツとのタバコの話が耳に残って、先輩にあこがれていた俺は
その日から親のタバコを拝借してはかっこよく吸える様に練習をした。
咳き込みながら。むせながら。
親にばれないように。


「何?お前?タバコ吸ってんの?ww」
「童顔のガキが何やってんの?ww」
「にあわねぇーww」

周りのダチは口をそろえて俺をバカにしていた。
アイツに格好良く、大人っぽく自分を見せるため、
周りのダチのからかう反応はひとまず無視して煙を肺に送り込む。
咳き込む、むせる。

何ヶ月か過ぎた後、咳き込む事無くタバコの煙を肺に送り込んでいる俺がいた。
先輩のマネをこっそりしてみて、様になっている自分を想像。
しかし実際は、様になんかなってやしない。
渋みと格好良さもまるっきり正反対にいる俺だからだ。
もっと様になっている俺になってからアイツの前でタバコを吸おう・・・。

タバコを吸っている事を隠しながら、アイツとの帰り道。
何気ない会話が楽しかった。
もう少ししたら、コイツの前でタバコ吸ってやろうっと!等と頭でシュミレーション。
男はガキだ。
それで何かが変わると思っている。

ある日の夕方。
いつも通りアイツと話して帰っていると、アイツは公園の前で立ち止まった。

「ちょっと時間ある?」
「お?おお、あるよ」
「じゃぁ今日はここで話していこうよ。」
いつもと違う状況に戸惑いながらも
「お?なんだ?なんだ?w」等とおどけてみせる。
ブランコに座ったアイツ。
落ち着かない俺は、脚をバタつかせたり、ブランコをこいだり、
こいで勢いのついたブランコから飛び降りたりとガキ丸出し。


「もーwちょっとは大人になりなさいよーwじっとしてられないの?
やっぱり子供なんだからーw」


「バーカ!w俺だっていつまでもガキじゃねぇよw」
言っちゃおうかな・・・。タバコ吸ってるって。

結局、俺はタバコの事は言わず、いつもと同じようにふざけた話をして帰った。
次の日、学校で何があるかを知らないまま。

いつもの教室。
いつもの顔ぶれ。
違うのは、最後のホームルームで告げられたアイツの転校だった。
帰り道、あいつを探してみたが見当たらない。
俺はどうしていいか分からずに、ただただ焦っていた。
・・・なんで昨日言わないんだよ!
・・・いつもと違ったのはこのせいだった?
・・・俺、いつまでもこんな風に一緒だと思ってたのに・・・。
同じ考えが頭をグルグル回る。
訳も分からず、どうしていいかも分からずに、
気がついたらアイツの家の前にいた。
何を話すかを決めないまま、たまらずインターフォンを鳴らそうと。

不意に荷物を持ったアイツの家族が出てきた。

「あら。どうしたの?久しぶりねぇw大きく・・・なってないわねぇww」
「おばさん・・・何でお袋になんも言ってないの?引っ越す事・・・。」
「いや、言ったわよ・・・。いっぱいお世話になってるんだし、
何も言わないで行く訳ないでしょ!
ただ、あなたにはあの子が自分で言うから黙っててって
あなたのお母さんに言ってたの・・・。バカねぇ・・・何もいってないの?あの子」

「うん、俺、なんも聞いてないんだ・・・。」
「・・・そう。私たちはこれから飛行機に乗って行くけど・・・。
あの子、今日はお友達の家に最後のお泊まりにいくって。
明日新幹線で一人でこっちにくる予定よ。」

おばさんはまるで見送ってあげてといわんばかりに新幹線の時間と車両を教えてくれた。

俺はアイツのダチの家へと向かった。
インターフォンを鳴らし、アイツを呼んでもらう。
家の窓からアイツの何人ものダチ達が見ていた。


「どしたの?急に・・・。」
「明日・・明日、ホームで待ってるから!」
「え?」
「とにかく待ってる!それだけ言いにきた。」
俺はそこから言いたいことだけを伝えて逃げるように走った。
次の日家を出る前にタバコをポケットにつっこみ、駅へ向かった。
駅のベンチに座っていると、

「よっ!お待たせっ!」とアイツが来た。
「お?おお!別に待ってねぇよっ」
二人ともハイテンションのフリをしていた。

「恥ずかしいじゃんよー。」
「え?・・あ、昨日のこと?」
「うんwみんなに冷やかされたw」
「は?何でだよ!」
「おかげで泣いたり、悲しくなったりはなかったけどねっw」
「何言ってんだよ!」

他愛もない話で時間が過ぎていく。
あの時はあーだった、こうだったと思い出話にばかり華が咲く。
別れの時が近づいている。
アナウンスが流れ、乗車の合図。

かすかに涙ぐむアイツは荷物を持って、新幹線に乗り込んだ。
入り口に立つアイツ、ホームに立つ俺。

心の中で俺は何度も言った。
好きって言え。今しかない。と。

アイツもそれを望んでいてくれたと思う。
おどけたいつもの雰囲気を消し、静かに待っていたからだ。
下を向いたまま何も言わない俺を、アイツは黙って待っていた。

永遠とも思える時間は突然のベルで終わりを迎える。
発射前、何も言えなかった俺が下を向いていると、アイツはコツンと拳を俺の頭にぶつけた


「下向かない!タメの男の子って子供でイヤーねー、背も顔も大人になりなさいよー」
と泣いてるアイツは無理に笑いながら言った。
その後、お互いが黙ったままドアは閉まった。
きっと同じ事を考えていたのだろう。
最後だから言え。
最後だから言って。
彼女はいっぱい泣いていた。
結局、俺は何も言えなかった。

俺はゆっくり動き出す新幹線を黙って見送った。
一人ホームに残った俺はベンチに向かって歩き、胸ポケットからタバコを出した。
クシャクシャになったソフトパックから一本タバコを出し、それをくわえ
右手の人差し指と中指にソフトパックを挟み、風除けにし左手でジッポーに火をつけ
思いっきり吸い込み、煙を出した。

目にはうっすらと涙・・・。
「・・いってぇ・・。煙が目にしみた・・・。」
俺は誰もいないのに言い訳をした。

新幹線の行き先を見つめながら
「こんなためにタバコ吸ってたのかなぁ?」
と俺は誰にともつかずつぶやいた。

タバコを一本吸い終わり、歩き出した男の子は、
ほんの少しだけ彼女が前に言っていた大人の男の顔になっていた。


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コメント

ちょ、マジ泣いた。。。

切ない大賞あげますw

つい先週、新幹線のホームで涙のバカップルしてきたところなんでね。
マジでいま泣いてますよ。
大人になるんだけど、そういうところ、そういう切なさを感じるところは
あの頃のままで居たいです。
今でもいつまでも。

初コメントです☆☆

はじめまして。すずと申します☆
飛んで来ました~♪

切なすぎです☆
泣けます。
っていうかお上手ですね。
青春の息苦しさと清涼感が同時に感じられる
そんな文章だと思います☆

タメのオトコってやっぱ子供だなぁ。
特に学生の頃って。

今はそうは思わないけど
そうかもですww

いまだにタメのオトコと話すときは…
自分がお姉さんのつもりかな♪



切ないなぁ~~
なんか自然と泣けることって最近無いのに泣いてる><;
若い時の気持ちって思い出すだけで泣けるんですよね・・・
あの頃のような突っ走ってる感じの恋愛したくなりました(*´∇`*)
また読みにこさせてくださいね(o_ _)o))

切ない話し選手権★
堂々の優勝でございます!
パチ☆\\ ̄ー ̄)( ̄ー ̄//☆パチ
いや~~~~
たーさんてば何者ですかぁ?
読んでいてホント鼻水出ましたぁ・・・

お返事

タクさん
大賞ありがとうです!
こんな話で泣いていただき、感謝!
タクさん、遠距離なんすか?
すげぇ良い話もってそうですなぁ!

すずさん
初コメありがとうです!
腐れ文章をほめていただき、感激です。
学生時代のタメは女の子から見たら、子供っぽいっすよねw
俺、今でも子供のままですけど・・・。
すずさんの方にも遊びにいきますね!

azusa♪さん
俺、ここ数年人前でも一人でも泣いてないっすねぇ。
泣くのどうも苦手というか恥ずかしくてw
こんな腐れブログでよければいつでもどうぞ!
俺も遊びにいかせてもらいます!

みうさん
優勝をいただき感謝です!
俺が何者かですって!?
バカ者だったりしますwwww

絶対忘れない・・・

そう思いながら徐々に記憶から薄れていく・・・
自分の「切ない別れ」の事が思い出されます;;

素晴らしいです。
涙が溢れてくる。

お返事

エヌさん
絶対忘れない!って思っていても思い出が美化されたり、
うすれたりと曖昧になってきますよね。
意外と俺、覚えてるほうなんすけどw
踏んだ足は忘れて、踏まれた足は絶対忘れないって
タチの悪い男ですwww

こんな駄文で泣いてくれたなんてありがとうです!
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たー

Author:たー
いい加減で、残念な男のブログです。
期間限定で閉じる予定です!

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